先日はAstrotecのAM850というダイナミックイヤホンをレビューしたんですけど、実はもう1つ気になってたイヤホン AX-35もお借りしていました。なので今回はそちらをレビューします。
そういえば読者諸兄はもうAM850は聴きました?自然な鳴り方が魅力のイヤホンで、最近のモデルの中ではなかなかオススメの機種なので、まだの方はぜひ聴いてみてください。
いかんいかん、今回はAX-35でしたね。さっそくレビューします!
Astrotec AX-35 レビュー

外箱はキューブ型

シンプルな筐体デザイン

背面にもベント

プラグと分岐は同じ素材
AX-35はとてもオーソドックスなデザインをしていて、筐体デザインもシルバー1色と飾り気はほとんどありません。音質以外の無駄な部分を削ぎ落としたようなソリッドな製品です。
装着感はイヤーピースに準拠するといったところで、ストレートでも耳掛けでも使えます。イヤーピースを小さいものにすればかなり耳奥まで入れられるので、スパイラルドットのSサイズを使ってかなり押し込んで聴いていました。
ケーブルは反発力弱めで、多少クセはつきますが扱いやすい方だと思います。本体が地味なのでケーブルのカラーが良いアクセントになっていますね。
パッと見では9000円前後のイヤホンにはちょっと見えないですが、作りはしっかりしていると感じました。
ハイブリッドらしからぬ音質
AX-35は1D+1BAのハイブリッド型なのに1万円を切る価格となっていて、その点が気になってお借りしました。聴く前はハイブリッドらしく低音と高音を強調したサウンドを想像していたんですが、聴いてみるとその予想は裏切られました。
一聴した感想は「え?これ本当にハイブリッドなの?」というもの。音のつなぎ目がスムーズというか、つなぎ目自体をほぼ感じません。ミッドからローにかけて充実しており、よく出来たダイナミックイヤホンのように思えました。
伺った話によると、AX-35は音のつなぎ目には相当気を使ってあるそうで、普通に聴いたくらいでは分からないレベルにチューニングされているようです。凄い技術力…。これをブラインドでハイブリッドと言い当てる自信はないな…。
そんなわけでAX-35の音質はとてもナチュラルなものになっています。暖かく包み込むような低域を持っており、ボーカルは近くなりすぎず自然に聞こえました。サ行の刺さりもうまく処理されています。高域の主張はやや弱いですが不足感はなく、シンバルの質感もギリギリ金属味を保っています。
ウォームな低域や1歩離れたボーカルとの距離感、やや抑えた高域のバランスなどはAM850と似たものを感じたので、これがAstrotecサウンドの特徴なのかもしれません。ただ解像感(特にボーカル域)や音場の表現はAM850の方が上手ですね。
総じてAX-35のサウンドは耳に馴染みやすく、聴きやすい音をしていると感じました。特にアコースティックギターでは心地よい音色を聞かせてくれるので、歌モノよりはインスト系に合うイヤホンなのだと思います。
総評
Astrotec AX-35は良い意味でハイブリッドらしからぬ音を出す面白いイヤホンでした。元気なドンシャリサウンドを期待して買うと裏切られるかもしれませんが、安価でナチュラルなサウンドを求めるのであれば良い選択肢だと思います。ハイブリッドコレクターの方にはぜひ聴いてもらいたい音ですね。
Astrotecのイヤホン2種類を聴いて思ったのは、とても良い音作りをしているんだけど「出音がちょっと地味」ということでしょうか。じっくり使うと良さが分かるんですけど、店頭の試聴だけだとなかなか伝わらない部分があるように思います。これがスルメアルバムならぬスルメイヤホンというヤツでしょうか…。
なので、この記事を読んだ読者諸兄が「どんなもんじゃ?」と店頭へ聴きに行っても、最初は「そんなに良いか?」となると思います。ただお気に入りの曲を2〜3曲じっくり聴いて耳が慣れてくると「なんか良いかも…」と思ってもらえるような気がしています(ならなかったらごめんなさい)。
個人的にはAM850の厚くワイドなサウンドの方が好みですが、もう少し低域をスッキリさせた方がお好きな方はAX-35がオススメです。どっちも丁寧なチューニングを感じる機種。ぜひ聴いてみてください!
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