【レビュー】HIFIMAN Edition S 必聴のHiFiサウンド

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 ポータブルオーディオの新製品は数多くあれど、「これは買おう」となる製品はなかなか少ないように思います。その理由の1つは高価なものが多いこと、もう1つはあえて厳しく書くと「感動が無いから」と言えるかもしれません。それだけこのマーケットが「成熟してきた」ということなのだとも思います。

 今回紹介するHIFIMAN Editon Sはどうかと言うと…これこそ「これは買うしかない」と思わせてくれる1台でした。いや、それどころじゃないですね、アンダー3万円ヘッドホンの勢力図を変える1台だと思います。さっそくポータブルヘッドホンに新しい歴史が生まれる瞬間を一緒に見ていきましょう。

HIFIMAN Edition S レビュー

外観をチェック!

HIFIMAN Edition S
HIFIMANのパッケージはいつもしっかりしてます。

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中にはGANTZが入ってました。

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GANTZの中身「やぁ。」

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とても質感高い作りです。

HIFIMAN Edition S
iPhone6と並べるとこんな感じ。ケーブルは着脱式でヘッドフォン側は3.5mmの3極。なのでミニミニケーブルを刺しても音が出ます。

 作りはさすがのHIFIMAN。パッケージから本体の細部までしっかりと作りこみがされていますね。デザインもシンプルながら美しく、使っていて飽きのこない仕上がりになっていました。

 装着はオンイヤーではなくアラウンドイヤータイプ。イヤーパッドもクッション性が高いので長時間のリスニングも問題無しでした。ポータブルヘッドホンの中で考えると、装着感は快適な部類に入ると思います。

 ここまでは何てこと無い普通のポータブルヘッドホンですが、実はこのEdition S、ハウジングのカバーを外すことで「密閉と開放を切り替えられる」という大きな特徴を持っているのです。

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カバーを外すと、両肩の星(ファイティングスピリット)を失ったテリーマンのような見た目に…。

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ファイティングスピリットはマグネットになっているので簡単に取りはずしができます。

 低音の量を調節できるヘッドホンは多くありますが、こういった方式で開放と密閉を切り替えられる機種は初めてです。他にもありますかね?知っていたら教えてください。このような方式を採用している影響もあってか遮音性は低く、音漏れもやや大きいように感じられました。

立体感を感じるHiFiサウンド

 肝心の音ですが、聴いた瞬間から驚きの嵐。速い立ち上がりで分離の良い音、広い音空間。アンダー3万円でここまでの表現をするポータブルヘッドホンは他に無いと思いました。

 低域は非常にタイトで遊びがない印象。脳にくるようなキック感はありませんが、キレが良いので不足しているように感じられません。何より中高域の表現が素晴らしいので「そんなの気にならない」というのが本音でしょうか。

 中域も低域と同じく非常にメリハリの効いたサウンドです。特筆すべきは鮮度の高さで、「もぎたて野菜かよ!」とツッコミたくなるような鮮やかでクリアな音を聴かせてくれます。音の1つ1つに立体感があり、それが広い音場と高い分離感、正確な定位によって配置されるので、聴いていてエクスタシーしか感じません。こういった鳴り方をするヘッドホンはボーカルが遠くなりがちなのですが、そのようなことはなく、程良い距離で鳴ってくれている感があります。

 最後は高域。高域こそがこのヘッドホンを銘機たらしめている部分だと思います。この価格帯の中では抜きん出て精細な表現力を持っていて、ルーズなところがまるでありません。透明感を持った響きはクールで、シンバルの質感がしっかりと伝わってきます。このカリカリっとしたチューニングは、まさに昨今のハイレゾ・ハイファイなサウンドにピッタリで、録音の良し悪しまで正確に描写してくれました。

Edition Sで聴きたい音楽は

 Edition Sにマッチする曲を考える前に、密閉と開放の違いについて少し触れておきます。結論から言うと「驚くような違い」はありませんでした。ただ音響的に変化があるのは確かで、密閉の方が反響音からくる余韻が長く、開放の方が左右方向への音場拡張と高域に伸びを感じます。室内で使うなら開放、外なら密閉で使うのが良いのではないかと思いました。

 さてEdition Sにマッチする音楽ですが、エッジの立ったキレの良い音と、音数の多い曲にも対応できる分離の良さ、高域の美しさを活かしたものが良いと思われます。まず思いつくのが「凛として時雨」ですね。時雨の高域を主体としたキレたサウンドは相性抜群です。高域のクールさを活かして、北欧の冷たい感じのメタルも良いと思います。

 このように書くと「ロックやメタル向きのヘッドホンか」と思われてしまうかもしれません。しかし低音の量感や押し出しは決して強くないので、これらのジャンルに対して万能ではないと思います。パキパキあるいはカリカリに鳴らしたい音楽との相性が良いと感じました。そういった意味では現代的なデジタルサウンドとの相性も◎。録音の良し悪しがダイレクトに伝わるので、ソースはやや選んでしまうかもしれませんが、良い録音の音は本当に素晴らしく鳴ります。

総評

 Edition S、凄いヘッドホンですね。久しぶりに聴いた瞬間から「これは欲しい」と思わされてしまいました。3万円以下のポータブルヘッドホンといえば、低音が素敵なHD25、マスタリングのプロが使ったフラットなPHONON 4000、重低音と解像感が同居するWS1100などなど銘機が数多くあります。そんな中でもEdition Sのタイトかつクリアな音、分離と定位がはっきりしたハイファイな鳴り方は目を見張るものを感じました。

 久しぶりに絶賛のレビューを書きましたが、読者諸兄の中には「ほんまかいな?」と思った方も多いことでしょう。発売は5/27となっていますので、ぜひご自身の耳で確かめてみてください。オススメです!