ヘッドホンレビュー

【レビュー】HIFIMAN HE1000はどれくらい鳴らしにくいのか

HIFIMAN HE1000

 先日、読者の方からこんなお便りを頂きました。

 「HEAD Bankさん いつも楽しく読ませてもらってます。HEAD BankにはよくHIFIMANのヘッドホンレビューが掲載されていますが、HE1000のレビューはしないのでしょうか?HE1000は鳴らしにくいヘッドホンらしいですが、どれくらい鳴らしにくいものなのか気になっています。機会がありましたらお願いします。」

 気になりますよね、HE1000。HEAD Bankでは出来る限りポータブルで使える(鳴らせる)機材を紹介したいという気持ちがあるので、HE1000みたいなヘヴィー級の機材はあえて敬遠しているところがあります。(知ってた?)

 でも「鳴らないと言われてるものを鳴らしてみる」のも面白いかもしれないと思ったので、今回挑戦してみることにしました!DAP直から据え置きアンプまで色々と繋いでみることで、どんな変化があるのか検証してみたいと思います!

 (いつもこんな思いつき企画に付き合ってくれるHIFIMAN JAPANさんありがとう。)

DP-X1と繋いでみる

HIFIMAN HE1000

 やめろ!無茶だ!という雰囲気しかしない組み合わせ。ちなみにHE1000のインピーダンスは35Ω、感度は90dBです。インピーダンスはそれほど高くないんですが、感度がヤバめ。

 聴いてみた感想としては、思ったよりも音量は取れました。ハイゲインでボリューム150くらいでそこそこ大きな音量になります。(DP-X1のMAXボリュームは160)

 で、音質の方はどうかと言うとかなりダメな感じ。低域の質感に抑揚が無く、高域もシンバルが「カチャカチャ」としていて残念です。これがいわゆる「音量は取れるけど鳴ってない。」というヤツですね。でも音量が取れたのは意外な発見でした。

TU-HP01と繋いでみる

HIFIMAN HE1000

 次は標準的なポータブルアンプと組み合わせてみました。TU-HP01は対応ヘッドホンインピーダンスが16Ω〜32Ω推奨なので、35ΩのHE1000は非推奨です。これは検証記事なので繋ぎますが真似はしないでくださいね。

 アンプのボリュームは12時〜13時くらいの位置で中程度の音量が取れました。ただそれ以上音量をあげるとバリバリと音が歪んでいくのが分かります。こりゃダメだ!アンプの推奨インピーダンスはしっかり守りましょう。

mojoと繋いでみる

HIFIMAN HE1000

 ということで次はパワフルなアンプとしてお馴染みのmojo。最大800Ωのヘッドホンもドライブできるというその実力を試してみました。

 さっそく聴いてみるとこれがかなり鳴ります。mojoのボリューム配色はよく覚えていないのですが、5〜6割くらいの位置で充分大きな音になっていました。

 制動の効いた低域と暖かみのあるヴォーカル、自然で美しい高域といったHE1000の魅力がかなり表現されています。やっぱりmojoすごい。試しにHIFIMAN JAPANの中の人にも聴いてもらったんですが「いいね!mojoの音とHE1000は相性良いかもしれない。」と太鼓判でした。

 もちろん低域中心にパーフェクトな駆動とは言えないのかもしれません。それでも外出先で聴くなどの用途ならば、充分アリなクオリティーだと感じました。

EF100と繋いでみる

HIFIMAN HE1000

 ここからは据え置きです。あまり馴染みないでしょうけど、HIFIMANのEF100という真空管DAC AMPと繋いでみました。(実売5〜6万円のアンプ。)

 さすが据え置きになるとパワーが1段増すというか、やはり余裕のある鳴り方になりますね。ボリューム位置は12時で充分。真空管ということもあり、ミッドレンジは暖かみのある優しい音で低域もマイルドになり聴きやすいです。

 しかし、HE1000の持つ広大な音場や群を抜く表現力の高さは、この組み合わせでは発揮できていないように感じました。「良い音なんだけど、何か足りない…」そんな印象ですね。これはEF100が悪いというよりは相性のように思います。

 EF100はHE400iやEdition Xあたりと組み合わせるのが適当なのかもしれません。ウォームなサウンドが好きな方にはオススメのアンプです。

EF6と繋いでみる

HIFIMAN HE1000

 最後はHIFIMANのEF6という大型のアンプを試してみました。価格は16万円前後のアンプですが、残念ながら現在日本では販売終了となってしまったそうです。

 ここまで来たらHE1000の実力を存分に試してみたいので、4ピンXLRのバランス接続で聴いてみました。ボリューム位置は12〜13時くらいで大音量に。

 サウンドはこれまでのアンプとは一線を画するクオリティー。音場は拡張され、低域はこれまでに無い抑揚を持っています。音の奥行きが一気に広がったような印象ですね。

 HE1000はEdition Xと比較するとフラット・ナチュラルを極めたようなサウンドで、より広いダイナミックレンジを表現しきる実力を持っています。

 聴き比べるとEdition Xには低域と高域に多少の味付けがあり、ロックやポップスを楽しく聴ける音傾向になっている一方、HE1000には誇張された部分がほとんどありません。それでも、さらっとフルオケも表現しきってしまう懐の深さ、繊細さを持っており、底知れない実力を感じました。

結論 「HE1000は思ったより鳴る」

 鳴らしにくいと言われるHE1000ですが、DP-X1でも音量だけならとれますし、mojoならわりとちゃんと鳴ってくれました。据え置きアンプにすると、音に深みが増し、バランス駆動ではさらに素晴らしい音を聴かせてくれます。

 実用性のある音ということで考えると、ポータブルならmojoクラスのパワーがあれば楽しめそうです。(mojoクラスのパワーのポタアンが滅多にないという問題はありますがね…)

ヘッドホン「鳴らしきる」問題

 HE1000は冗談で「まだ地球上に鳴らし切るアンプが無い」なんて言われることもありますが、ヘッドホン(イヤホン)を鳴らしきるってなんでしょうね?

 個人的にHE1000はmojoでも充分楽しめるレベルで鳴っていると感じました。しかしそんなことを口走しろうものなら、オーディオ上級者の方から「コイツは分かってない」と言われてしまいそうです。

 もちろんより高性能(高価格)なアンプを使用すれば、より良い音になるのは自明の理。個人的には適正なボリューム位置で適正な音量がとれていれば、それは「鳴らしきれてる」と言ってよさそうな気もするんですが、これには諸所考え方に違いがありそうです。

 ただまぁ皆さん、自分のヘッドホンやイヤホンは我が子のように可愛いでしょうから、「この子にはまだまだ隠された実力がある!」という親バカ心理も、決して間違っているわけではないと思います。「鳴らしきる」という言葉は、そんな親心から来ているものなのかなぁ?と、今回の検証で考えたりしました。

 ということで、HE1000は思っていたほど鳴らしにくいヘッドホンではありませんでした(mojoが凄いだけ?)工夫すればポータブル機器でも充分に楽しめると思います!もちろん、より良いアンプを使えばより楽しめますよ!

 余談ですが現在、フジヤエービックさんにてB級品がかなりお安く出てるので「実際、B級品ってどの程度のものなんですか?」と聞いてみたところ、今回のB級品は品質検査で開封・再生チェックしたものとのこと。ほぼ新品に近いようですね。

 HE1000は私が評するまでもなく、世界中で高い評価を得ているヘッドホンです。ぜひこの機会に試してみてはいかがでしょうか?B級品でも高いですけどね!

HiFiMan HE-1000「フジヤエービック オンラインショップ」

何気にEdition Xも安いです。
HiFiMan Edition X「フジヤエービック オンラインショップ」

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